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スクール卒業生インタビュー
〜卒業から1年の歩み〜

interview

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「うるま創業スクール」を卒業して1年、昆虫食を食事の選択のひとつに

藤田 匠さん

●  昆虫を農業の害とするのではなく、活用する食糧化事業を発足

●  卒業後半年で会社設立、高校との産学連携にも取り組む

●  起業前から「うるま創業スクール」の方に相談し、スムーズに準備ができた

●  ネクストステップは工場をもち、昆虫食を食卓へ

昆虫を農業の害とするのではなく、活用する食糧化事業を発足

── 昆虫食の事業を進めていると思いますが、そもそも最初に興味をもったきっかけを教えてもらえますか?

藤田匠さん(以下、藤田):受講当時は農学系の大学院で、生物農薬の研究をしていました。虫を農薬で排除するのではなく食用に使えないかを考え、東京の食用昆虫の研究会の活動に参加したのが、昆虫食に興味をもったきっかけです。

食用昆虫の食べ方やさまざまなことを学び、2年ほど前に普及啓発の活動として沖縄に来ました。

本州に比べて暖かい沖縄では、生息している昆虫の数が多く、成長しやすい環境なのでサイズも大きいです。

昆虫を食糧として考えると量が必要になるので、自分がこれまで学んだ知識を活かして、沖縄の豊富な昆虫種と恵まれた環境で養殖をしたいと思って起業しました。

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── 昆虫を排除する農薬から、昆虫食に繋がっていたんですね。

人口増加や地球温暖化などいろいろな環境課題があると思いますが、虫を害として扱い排除するのではなく、どういった利用方法があるかを考えていくのが、これからの時代に必要だと思っています。そのなかで食糧としての可能性が報告されてきたので、深掘りしていきたいと考えています。

── 昆虫食の事業内容や概要を教えてもらえますか?

加工食品やフリーズドライとして昆虫食の商品化をめざし、現在は自宅で食用となる昆虫を養殖しています。

フリーズドライは水分を飛ばしたもので、形と栄養価がそのまま残ります。

粉末にした方がいいとの声もありますが、粉末だとなにを食べているのかわからなくなってしまうと思っています。昆虫を食べる体験を楽しんでもらいたいので、見た目を残して加工しています。市場の声を聞きながら徐々に変えていくと思いますが、まずはそのままの形で考えています。

フルーツを入れたものや、バナナとあえた加工食品もあります。今後は、沖縄ならではのフルーツと昆虫を掛け合わせた商品の開発もしていきたいです。

そしてゆくゆくは、うるま市浜比嘉島地域交流拠点施設の「HAMACHŪ」で昆虫食を製造して、沖縄県内のスーパーなどに卸していきたいと考えています。

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── 昆虫食の需要はありそうですか?

需要は世界的には伸び続けていて、食用とされている昆虫種が2013年は1900種報告されています。4年後の2017年には2111種まで増えていて、さらに数年経っていると考えると、2500~2600種ぐらいまで増えてるのではないかと思っています。

沖縄ではあまり昆虫食は身近ではないと思いますが、東京や東北に行くと、昆虫食を知ってる方や食べたことがある方が一定数います。

テッポウムシやイナゴの佃煮、コオロギのパウダーはすでに販売されているので、昆虫食経験がある方は年々増えてきている印象です。

── 代替食として期待できそうでしょうか? 

脂肪酸が豊富で、たんぱく質としてはあまり魅力がない昆虫もあるので、そういったものは食べすぎると体に良くないので主食にはなりません。

また、養殖の課題もあります。食糧難で昆虫食といわれていますが、増やすにも技術がいるので改良が必要だと感じてます。

なので、たまに食べるような嗜好品からスタートして、将来的には食材の選択肢のひとつとして食卓にならぶ日が来ればいいなと思います。

── どのような事業にしていきたいですか?

少しずつ、小さなことから進めています。現在は海外から輸入した昆虫を活用して養殖を行いながら、昆虫食の加工・製造をしていきたいと考えています。

しかし、人間が食べても大丈夫なのか、栄養や安全性についての研究例が少ないことが課題のひとつです。安全性のデータを今後取っていかなければ、昆虫食は広まらないと思っています。

卒業後半年で会社設立、高校との産学連携にも取り組む

── 昨年度の「うるま創業スクール」に参加して1年の間で、どう変化があったか教えてください。

「うるま創業スクール」を卒業してすぐに会社を設立したいと考えていましたが、半年ほど経った2024年8月に「琉球昆虫株式会社」を設立しました。

そこから1か月後に沖縄県の補助金事業に採択され、食品製造設備を購入し製造許可も取得して、徐々に販売へと動き出せました。

昆虫食を商品化するにあたり、一般消費者の声が入って来ないので、知り合いの方から沖縄県立北部農林高等学校の食品科学科の先生を紹介していただきました。昆虫の原料を実習の材料として提供し、生徒が昆虫食の開発に取り組むといった産学連携も行っています。

起業前から「うるま創業スクール」の方に相談し、スムーズに準備ができた

── 起業準備中にやっておいてよかったことはありますか?

起業準備はいろいろありますが、「うるま創業スクール」のスタッフさんに卒業した後も相談をしていました。

なにをどうしたらいいのか整理が付かず、事務局の方に何度か相談し、その都度回答していただいたのでスムーズに準備できました。

昆虫食なので心配な面がありましたが、審査の際に「うるま創業スクール」に参加していたと伝えたことで、話が早く進んだように感じました。スクールの認知度が高かったので、昆虫食でも説明しやすかったです。

── 補助金はご自身で調べましたか?

「うるま創業スクール」を受講しているときに那覇市で開催されている別のプログラムにも参加していて、そこで「うむさんラボ」さんと知り合いました。「うむさんラボ」から補助金事業を紹介してもらい、計画書を提出してとおりました。

── 起業準備期間中に、やっておけばよかったことなどはありますか?

事業計画です。設備を買うための融資を金融機関から受ける際に、事業計画の説明を求められました。本当に需要があるのか分からない商材(昆虫食)だけに、説明が難しかったです。

説明が難しいことに挑戦したい方も一定数いると思いますが、ある程度固めてから創業した方がスムーズだったと思います。

ネクストステップは工場をもち、昆虫食を食卓へ

── 藤田さんのネクストステップを教えてください。

実際に商品を売って、消費者からどう見られるかを市場調査していきながら、養殖も拡大していきたいです。

虫に触れて食べられる体験農園のようなものを作っていきたいですし、小さくてもいいので生産から加工まで全部できる工場ももちたいです。

そして将来的には昆虫食が家庭の食卓にならぶように、事業を進めていきたいと思っています。

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