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スクール卒業生インタビュー
〜卒業から1年の歩み〜

interview

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「うるま創業スクール」でつながった多くの方の支援を受けて事業を育てる

江尻 由紀子さん

●  まずは韓国料理を知ってもらうことから、対面販売での工夫

● 間借り営業からスタート、本場韓国の味を提供したい

●  「困ったときに助けてくれた」お客さんとのつながり

●  「おいしい料理を食べさせることが好き」無理のない営業スタイルで続けていきたい

まずは韓国料理を知ってもらうことから、対面販売での工夫

── 江尻さんの事業の概要を教えてください。

江尻 由紀子さん(以下、江尻):韓国料理を販売しています。事業を自分の理想の形にするため、紆余曲折しながら、そして多くの方の助けをもらいながら営業しています。

──「うるま創業スクール」を卒業されて1年が経ちました。卒業してからの歩みを聞かせてください。

「うるま創業スクール」でつながった方々に助けてもらいながら、自分のやりたい形を模索しています。お客さんは、リピーターが多いですね。流動性のある場所ではないので、1度来たら「また来たい」と思ってもらえる工夫をしています。

 

具体的には、お客さんにとって負担のない価格で提供するにはどうしたらいいかを、よく考えています。商品を作るために高い食材を取り寄せることはせず、量を調整したり、季節の野菜を使ったりしています。

 

また、おいしいと思ってもらうために、お客さんに「あーん」と味見させています。想像以上に韓国料理を知らない方が多いんです。本当はもっと作りたいメニューがあったのですが、基本的な料理からやっていこうと思っています。

 

まずは食べてもらわないと、お金は出せないはずです。自分が逆の立場だったら、どこかのアジア料理屋で知らない名前のメニューがならんでいても、頼めないと思うんですよね。だからこそ、少し味見してもらって「こういうものなんだ」と納得して買ってほしいんです。

 

テイクアウトしてお家で食べたときに「思っていたのと違う」と後悔してほしくない...。そのためには、やっぱり味見が大事だと思っています。

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間借り営業からスタート、本場韓国の味を提供したい

── もともと韓国でお店をされていたんですよね。「うるま創業スクール」卒業後、日本ではいつ頃お店を始めましたか?

卒業とほぼ同時にお店を始めました。「うるま創業スクール」で、先輩起業家のお話を聞く機会があり、パーラーOKIさんがご夫婦でいらっしゃっていました。おふたりがキッチンをほとんど使っていないと話していたので、面識もないなか「間借りさせてください」とお願いしたんです。

 

たしか、うるま市産業まつりの開催前でした。営業許可がないと出店できなかったので、パーラーOKIさんで間借りして営業許可を取得後、お店を始めました。その後は、時どきお世話になっていた間借りから、月単位で貸してもらうことになりました。

── 日本の方に「本場の韓国料理の味を知ってほしい」という想いが強いと思います。実際に販売をスタートして、大変だったことはありますか?

韓国料理について、ドラマに出てくるような簡単なものしか知らない方が多かったので、メニュー開発に苦労しました。

 

沖縄の方は辛いものが苦手だと聞いていたので、辛すぎたらどうしよう…と気になっていたんですよね。でも、辛さを抑えて日本人好みにするような忖度(そんたく)はできません。私は韓国の屋台で2年ほど、地元の方を相手に料理を作っていたので、本場で食べてきた味しか知らないんです。

 

最初はおそるおそる作っていましたが、続けていくうちに「辛いのはダメだけど、ここのは食べられる」という声が聞けるようになりました。意外とみなさん、本場の辛さの方が食べられるんだな、と自信を持てるようになりました。ダメかな、どうかな…と悩まずに、いまでは好きなものを気楽に作っています。

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「困ったときに助けてくれた」お客さんとのつながり

── 店舗の変遷(へんせん)について、お話を聞かせてください。

事情があり、間借りしていたパーラーOKIさんの店舗を出ることになったんです。悩んでいたとき、「うるま創業スクール」の卒業イベントがあり、うるマルシェでキンパを販売しました。その際、うるま市前原で韓国料理を営むしんちゃんチキンのオーナーさんがキンパを買いにきてくれたんです。「あなたキンパ巻けるの!?うちを手伝ってよ!」と声をかけてもらい、仲よくなりました。

 

しんちゃんチキンのご夫婦に、店舗を出ることになったと相談すると「うちのキッチンカーを使ってみたら?」と言ってくれたんです。それではお世話になります、と現在はキッチンカーで販売させてもらっています。

 

また、雨が降る時期にどうしようかと悩んでいたら、常連のお客さんが「うちの1階を使っていいよ!」とすごくいい場所を紹介してくれたんです。ほかにも「うちの前を使って」「誰も住んでいない実家を使って」といろいろな方が助けてくださいました。「沖縄市でキッチンを使っていないところがある」と紹介してくれる方もいて、本当に多くの方が声をかけてくれたんです。

 

3月からは、うるま市安慶名のスターバックス向かいの大通りで、場所を貸してもらうことになりました。営業を続けながら、今後も住居兼店舗を探していくつもりです。

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「おいしい料理を食べさせることが好き」無理のない営業スタイルで続けていきたい

── 創業前にやってよかったこと、もしくはやっておけばよかったことはありますか?

前回のインタビューでも話しましたが、堀家(ホリケ)さんの講座が印象的でしたね。沖縄に移住してから、なにかやりたいと思っていました。本当は別の事業をするつもりで「うるま創業スクール」にも参加したんです。

 

堀家さんの講座で自分を振り返り、本当にやりたいことを考える機会がありました。やっぱりおいしいものを人に食べさせることが好き、私はそれだよね!と気づきましたね。韓国でも飲食業を10年やってきました。努力を惜しまないことが、本当に好きなことだと言えるはず!やってもやっても、まだ足りないと思えるものに気づけたので、途中で業種転換しました。

 

本当に自分がやりたいことをよく考え、気づくための努力が大事かな。私は、泥臭い努力は必要ないと思っているんです。ほどよい努力ができたらいいですよね。

 

心残りなのは、事業計画書を作る講座に参加できなかったことですね。私は韓国で飲食店をやっていたとき、ゲストハウスや人材派遣など、別の仕事も掛け持ちしていました。小さく始めていた仕事もきちんとビジネス化していたら、日本に帰ったときに収入の柱になっていたかもしれないと後悔しています。ビジネスの基本を知っていれば、そんな後悔もなかったのでは?と思います。

 

いつどこでビジネスの知識が必要になるかわからないので、すべての講座を受講しておけばよかったと感じます。助成金の申請についても、流れがわかったことで次からの選択肢が増えました。助成金なんて無理だよ…と思っていましたが、ひとつの方法があると知っているだけでも、自分のなかで選択肢が増えるので、事業の成功につながるのではないかと思います。

── 今後の長期的な展望を聞かせてください。

親ひとり子ひとりで、県外から移住してきたので、子育てが大変なんですよね。いまお店を構えたところで、きちんと運営できないと思っています。数年後、本当に理想の住居兼店舗が見つかるまで、キッチンカーや間借りといったスタイルで営業を続けていきたいと考えています。

 

いまお店を持ってしまうと、本当にやりたいことができなくなるかもしれません。なので、無理のないやり方で、みなさんに支えてもらいながら続けていきたいです。余力を残す分、おいしいものを作ることに注力しています。子育てにも対応しつつ、細々と自分の夢も追いかけていきたいです。いつか子どもは巣立っていくので、そのときに向けて着々と続けていきたいですね。

江尻 由紀子さん

仁寺洞 和(インサドン・わ)

https://www.instagram.com/koreanfood.okinawa/

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